骨粗鬆症という言葉は、私が整形外科を志した20年前に比べると、随分と一般的な言葉になってきました。骨粗鬆症が、骨の量が減って骨が折れやすくなるということは、皆さんご存じだと思います。では、骨が減るということはどういうことなのか、なぜ最近大きな問題として取り上げられるようになったのでしょうか。
写真に正常な背骨と骨粗鬆症の背骨の断面があります。内側にある網の目のような構造の密度が違うのが分かると思います。この網の目の構造を骨梁(こつりょう)といい、家を支える柱や梁(はり)のようなものです。手抜き工事をした建物が壊れやすいのと同じです。
では骨粗鬆症の恐ろしさは何でしょうか。現在、寝たきり老人が大きな社会問題をなっていますが、その原因の一位が脳血管障害(70%)次いで大腿骨頚部骨折(太ももの付け根の骨折 20%)となっています。つまり、寝たきりの大きな原因の一つなのです。それだけではなく、死亡率と骨量の関係を調べた研究では、骨量が少ないほど死亡率が高いをいう結果も出ているのです。こう言ってしまうと、すごく恐ろしい病気のように思えますが、予防や治療をきちんとしておけば、そう恐ろしいのもではないのです。
それでは、どのようにして骨粗鬆症は引き起こされるのでしょうか。「骨」というと、化石を想像する方も多いと思います。動物が死んでも骨だけが残ります。それから骨を石などのような無機質のように考えている方が多いのではないでしょうか。実際には骨はどんどん新しいものに生まれ変わっているのです。
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