中高年の方に多い変形性膝関節症についてお話します。関節は骨と骨とのつなぎ目の部分で互いに接する部分は、表面がつるつるした弾力性のある関節軟骨で覆われています。この軟骨がすり減ってしまうと、関節のスムーズな動きが失われてしまい、痛みや動きの制限が出てきます。このような状態を変形性関節症といいますが、最も起こりやすい部分が体重の負荷が掛かりやすい膝(ひざ)なのです。
初期症状は、立ち上がるときや歩き始めに痛むというのが特徴です。痛みは膝の内側に感じることが多いのですが、これは体重が関節全体に平均に掛かるのではなく、内側により多く掛かるからなのです。進んでくると関節の動きが悪くなって正座ができなくなったり、関節が変形し、すねが内側に曲がったりします。
レントゲンで見ると、まず内側の軟骨が減ることで関節のすき間が減ってきたり、骨棘(こつきょく)といって骨の縁のほうがとげのように変形してきます。末期になると全体的にすき間がなくなるだけでなく、骨のほうまで欠けてきます。
けがなどが原因でなることもありますが、最も大きな要因は年齢です。「年のせいじゃしょうがない」と思う方が多いかもしれません。確かに年齢によって進んでいくのは事実ですが、同じ年齢でも関節の変化は一様ではありません。かなり高齢の方でもレントゲンをみると驚くほど変形が進んでいない方もいますし、結構変形は進んでいるのにあまり不自由を感じていない方もいます。
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それでは、どのように予防すればいいのでしょうか。まず膝に余計な負担を掛けないことです。体重を増やさない、長時間の正座やしゃがみこみを避ける、重たい物を持ち歩かないことなどです。ここでわざわざ「余計な」と言ったのは、負担を掛けないために歩くことや運動をやめてしまっては困るからです。運動不足になると逆に関節の機能は衰えてしまうのです。
次に大事なことは筋力です。最も大事な筋肉は膝の上部にある大腿(たい)四頭筋という筋肉です。簡単にできる訓練方法があるので紹介しましょう。図のように膝を伸ばして座ります。片方の足を甲の方に反らせて膝の後ろを床に押し付けるようにしっかり力を入れてください。そのまま5秒数えてゆるめます。これを10回~20回繰り返します。痛みが出るのに無理に続けてはいけません。腰に痛みがある方はあおむけに寝て反対の膝を立ててやるとよいでしょう。
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